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凍りのくじら


:あらすじ:

藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。
残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。
彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。
家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。


:感想:

間違いなく、2009年ベスト本です。
辻村深月の初読は「ぼくのメジャースプーン」
この本でばちっとファンになった訳だけど、「凍りのくじら」でロックオン。
よしもとばなな・川上弘美に続いて、ほぼ読破な勢いで読んでいくだろうな。

郁也くんが出てからの後半は、もうずっと涙が止まんなかった。
写真集のタイトルが「帆」で、まさかのお母さんからの愛のオンパレード。
藤子・F・不二雄先生が書くSFは「少し・不思議」
そんな風に「少し・ナントカ」であだ名をつけて遊んでいる理帆子。
そんな理帆子は、「少し・不在」
どこに居ても、私はここに居たいと思えない女の子。不在。
そんな彼女が郁也くんと出会って、変わっていく。
郁也くんの傍にいてもいい?と声に出す彼女。
テキオー灯の効果が切れる前に。
そんなテキオー灯を最後に照らしてくれるのが
別所あきら。まさか、最後にそう来るとは!!
でも、こういうどんでん返しが好きだよね、辻村深月は。
「子供たちは夜も遊ぶ」でもそうだったし。
別所あきら=お父さん
後から読み返すと、ほー!となる伏線がいっぱい。
別所と2人でパスタを食べていた時。
横に座ってたカップルの彼女が怪訝そうに理帆子を見るのも納得。
2人で屋上に写真を撮りに行ったときだって、カメラを持ってるのは理帆子だ。
別所あきら。好きなキャラだったんだけどなー
郁也くんの家の1部屋にある、芦沢光の写真たち。
その写真たちに入っているA.ashizawaのサイン。
あぁ。ここにも。
光=あきら
だなんて!

郁也くんと一緒におはなし学校に通っているふみちゃんは
メジャースプーンのふみちゃん。
こんな風に、他の作品の登場人物がリンクしてくるのがまたニクイ。

青春要素の多い作品だったからこそ、好きだったのかもしれない。
でも、人の細かい心理描写を書く彼女はすごい。

「少し ナントカ」を
「すごく ナントカ」にしてしまう郁也くん。大好き。